25世紀。人類はまるで趣味の悪いSF映画のような悪夢襲われていた。
ヴィジター。そう総称される地球および連合星団外の宇宙生命体たちが突如現れ、地球とそのコロニー、および連合星団の宇宙船に対し敵対行動を取ったのだ。発端は地球側の探索部隊が外宇宙にて始めて遭遇したヴィジターの船隊に性急な威嚇攻撃を仕掛けたことだった。この戦いは、最終的には短く、双方誤解を解消した後に友好的な交流が生まれた。しかし、連合星団側、ヴィジター側双方内で和平に対して意見が分かれ、一部激しく反対行動を起こすものもでてきた。また、双方にあった反体制的な勢力や犯罪集団が混乱に乗じて活動を活発化した。
いっぽう、もともと地球のコロニーではあったが、その厳しい環境ゆえにスラム化し、忘れ去れて行ったものもあった。こうした場所は反対勢力にとって格好の隠れ家になった。これらの星に住むものの中で環境にあわせ、身体的・遺伝的構造が激しく変化したものが多くいた。これらはミュータントとよばれたが、その中には自分たちをないがしろにしてきた連合星団に対して激しく恨みを持つものもうまれてきた。ミュータントのうちの約50パーセントは超光速航法の導入以来再度連絡が取れるようになった連合星団に再編入されたが、残り半分は犯罪集団などに混じり連合星団の拠点に対し略奪を繰り返していた。
こうした反対勢力を連合星団とヴィジターは「孤立するものたち」ということから当初、「Alienators」とよんだが、人々はいつしかこれを”エイリアン”と総称するようになった。
エイリアンたちはいくらかの仲たがいを起こしながらゆっくりと強大な勢力に成長しつつあった。彼らの活動は、しかし、もっぱら略奪や、麻薬などの売買、そして奴隷の流通などに特化していた。とくに地球系の女性は性奴隷として珍重され、誘拐、略奪が絶えなかった。
こうした連合星団始まって以来の秩序の乱れに対し、連合星団、ヴィジター双方がこれらを取り締まる為のチームAlien Defence Directorate、(通称ADD)を結成した。が、惑星間でゲリラ的に活動するエイリアンたちの活動に対抗するADDの戦いは苦しいものだった。ADDの多くの作戦は敵を欺くため隠密裏に行われ、潜入捜査も多かった。とくに女性の囮捜査官による捨て身の潜入捜査が頻繁に行われた。これは、地球人の男性がエイリアンたちからの利用価値が少ない一方、女性であれば、たとえADD捜査官と分かったとしてもその性奴隷としてのニーズから殺害されないことが多かったからだ。
わたし、ヒトミ コタニは地球のアセアナ地帯・ジャポニカ州で生まれた。私の住んでいたネオ・トーキョーの街は私が4歳のときエイリアンの大襲撃にあった。沢山の女性たちが誘拐され、彼女たちを守ろうとした多くの男たちが惨殺された。 当時18だった私の兄もガールフレンドをかばおうとして上半身を引きちぎられ絶命した。
まだ若かったし、よくは覚えていなかったけれども、わたしは、いつか愛する人たちをまもるため、エイリアンたちと戦うためにADDに入隊する決心をしていた。そして、大学を卒業した年、アカデミーの門を叩いた・・・